コンサルティング事例

労働基準監督署による臨検への対応

依頼の経緯

顧問先のD社から、労働基準監督署より臨検実施の旨の通知があり、その対応について依頼のあったもの。

コンサルティング内容

(1)臨検前の事前準備

労働基準監督署から送られてきた通知書の内容および準備書類から、調査項目を想定し、指摘を受ける可能性が高い問題点を抽出した。
今回の対象事業場では、三六協定の特別条項の限度超過とその運用方法に問題のあることが判明したことから、この点について是正勧告を受ける可能性が高いことを前提に、これを是正するための方策について協議した。
また、臨検がスムーズに、かつ誤った事実関係で回答することがないよう、想定される質問事項について監督官が意図するところをふまえ、どのように回答すべきか、また、準備書類についても、それらを確認する意図をふまえて、どのように整理して提出すべきか、といった観点でアドバイスを行った。

(2)臨検の立ち会い

臨検にD社担当者とともに同席し、監督官からの質問内容に対し、担当者が質問内容を適切に理解できない場合の補足や誤った事実関係で回答してしまった場合の訂正を促す役割を果たした。
臨検では、想定どおり三六協定の特別条項の限度超過とその運用方法について是正勧告を受けることとなったが、会社としてその是正のための対応方針が概ね決まっていた(人員補充による業務量軽減)ため、担当官にその方針を伝え、一定の理解を得ることができ、是正報告書の提出期限(是正期日)についても、その方針による現実的な期日を設定してもらった。
なお、是正勧告の内容は下記のとおり。

  1. 三六協定の特別条項として設定している限度時間を超える時間外労働の発生
  2. 特別条項を適用する場合に必要な手続き(過半数労働者との協議)の未実施
(3)是正に向けた対応策の検討

臨検後、D社と検討のうえ、勧告事項について、次の対応策を検討、実施することとした。

  1. 限度時間を超える時間外労働については、当初の方針どおり、配転により人材補充を行うことした(結果、時間外労働が減少し、特別条項の限度時間を大幅に下回ることとなった)。
  2. 特別条項を適用する場合の手続きについては、過半数代表者との「協議」は現実的に難しいことから、「協議」から「通告」に手続き内容を改めることとし、三六協定の再締結(届出)を行った。さらに、通告の際に用いる書面を作成し、運用することとした。
(4)是正報告書作成のアドバイス

是正の状況を報告するため、D社が作成した是正報告書案に対し、その内容や表現について必要なアドバイスを行った。

(5)是正報告書提出の立ち会い

労働基準監督署への是正報告書の提出に立ち会い、無事に受理をされたことを確認した。